メールの処理に膨大に時間がかかってしまい、仕事が全然進まなかった、と反省することがあります。私はこの失敗を何度も繰り返しているうちに、これはなんとかせねば、と決意して、対策を真剣に考えるようになりました。
メールの処理を効率化する方法というと、ラベルを工夫するとか、テンプレートを活用するといったテクニックがいろいろあると思いますが、試行錯誤した結果、重要なのはテクニックではなく「メールで時間を無駄にしないぞ」という強い意思である、という結論に達しました。
こう書くと、おいおい精神論かよ、という感じですが、こういうのは習慣みたいなものなので、意思の問題という面が強いのではないかなと思います。
冒頭の「メールの処理に膨大に時間がかかってしまい、仕事が全然進まなかった」という言葉は問題の本質を表しています。というのも、「仕事が全然進まなかった」というのは、恐るべき事実だからです。
ソフトウェアの開発者であれば、コーディングなりデバッグなり、開発に取り組んでいる時間が大切なのであって、メールに延々と時間を費やすためにお金をもらっているわけではありません。
メールで時間を無駄にしてしまうパターンはいろいろあると思いますが、個人的によくはまってしまうのは以下のパターンです。
言いたいことを書いているうちに長くなってしまう
長いメールは読む側の時間を無駄にします。さらに悪いことに、むやみに長い文章は誤解が生じやすかったり、突っ込みどころが多くなる傾向があります。重要でない部分は削り取り、伝えたいことだけを簡潔にまとめることが肝要です。
と、言うのは簡単ですが、言いたいことを簡潔にまとめるのは、難しい技術です。この技を磨くには、簡潔な文章をできるだけ短い時間で書くという訓練を日頃から続けるしかないかなと思います。
ちなみに、 Paul Graham 氏は長いメールには返事をしないとのことです [1]。
文面をこねくりまわしているうちに時間をやたら食ってしまう
言いにくいことを伝えるために、気をつかって文面をこねくりまわしていると、時間を無限に食ってしまいます。本当に言いにくいことなら、メールで伝えるより、直接会うなりして伝えた方がよいので(メールは角が立ちやすいので)、その場合はメールは捨てて、ミーティングでもセットした方がいいでしょう。
それほど言いにくいわけでもない、という場合は、気を使いすぎても仕方がないので、単刀直入に伝えればいいでしょう。それに、同じ人物が書いた文章なら、こねくりまわしたところで、大して質は上がらないものです。
この、こねくりまわしパターンの厄介なところは、時間を費やしていくうちに、サンクコスト [2] が積み上がって、余計に時間を費やしてしまう、という泥沼に落ち入りやすいことです。時間を費やしすぎていることに気づいたら、さっさと切りをつけるモードに入ることが肝要です。こねくりまわしすぎた文面を捨てて、最初から書き直した方が早い場合もあります。
議論に熱くなってしまい、スレッドが長期化する
設計に関するクリティカルな決断など、重要な議論に時間がかかるのはある程度仕方がないと思いますが、メールで続けても埒があかない場合、ミーティングをセットして議論した方が早く結論が出ることが多いと思います。
一方、どっちだっていいよ、みたいな問題を延々とメールで議論するのは時間の無駄です。どうでもいい議論には首をつっこまないことが肝要ですが、うっかりつっこんでしまった、あるいは巻き込まれてしまった場合は、スレッドが長期化する前に「これはユーザ、あるいは製品にとって大切なことなのか」などと自問して、答えが否である場合は、相手に譲るなどして、さっさと議論を収束させることが肝要です。
時間をかけて自分の意地を通したとしても、結局は負けています。どうでもいい議論に時間を費やして、その分、やるべきことをやってないわけですから。
まとめ
メールで時間を無駄にしてしまう他にもパターンはいろいろあると思いますが、私が真っ先に思いつくのは以上です。メールにしろ何にしろ、必要以上に時間をかけて時間を無駄にするのは避けたいものです。ということを以前に書いたのを思い出しました [3]。メールも練習して早くやるべし!ということですね。
[1] http://paulgraham.com/info.html
[2] http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9F%8B%E6%B2%A1%E8%B2%BB%E7%94%A8
[3] 48.html