コミュニケーション能力とは何ぞや #54

公開日: 2013-12-31


あるとき、コミュニケーション能力の重要さを実感する出来事が仕事であり(何だったか忘れてしまったが)、コミュニケーション能力って本当に重要だねえ、と何気なくつぶやくと、同僚から、そんなことをネットで言ったら叩かれますよ!コミュニケーション能力というのは広い概念だから、一括りにして議論できないんですよ!と突っ込まれてしまった。言われてみれば確かにそうだなと思った。

日常生活という文脈では、たとえば、人の話をよく聞くとか、共感力があるとか、相づちがうまいとか(例:何気ないつぶやきに突っ込みを入れない)、人見知りしないとか、そういったことを指してコミュニケーション能力と言ったりすることがある。これらを仮に第一のグループと呼ぶことにする。

一方で、ソフトウェア開発という文脈では、自分の意見を論理的に説明できるとか、それを文書化できるとか、議論の中で適切な質問ができるとか、多数の意見の中からコンセンサスをまとめるのが上手とか、そういったことを指すことがある。これらを第二のグループと呼ぶ。

私がコミュニケーション能力って本当に重要だよねえ、とつぶやいたときは、第二のグループのことが主に念頭にあったのだが、プロジェクトを円滑に進めるためには第一のグループの方も重要だったりする。

たとえば、異なるチーム間で議論をすると、目標の違いなどから、意見の相違が出やすい。こういった場面では、相手の立場でものを考える共感力が役に立つはずだ。

が、これはなかなか難しい。その昔、コードを共有する方法について他のチームと議論した際に、相手のチームのコードの管理のやり方に疑問があり、その点について、控えめに伝えたところ、このやり方は間違っていない!と過剰に反論されて、結局、この話は流れてしまった。

後日、人づてに、私の意見は「お前らのやり方は全く間違っている。お前らのコードクオリティもひどいもんだ」という風に相手チームに受け取られていた、という話を聞いて、背筋が凍ってしまった。

実際のところ、心の中ではそんな風に思っていた訳で、自分の考えが正確に相手に伝わっていたという点では、抜群のコミュニケーション能力を発揮したと言えなくもないが。。

Satoru Takabayashi