2005年11月19日

読解いやな法則: 何もやらないよりはだらだらやった方がまし

読解いやな法則の第5回です。今回はとりわけ怠け者にぴったりな法則である「何もやらないよりはだらだらやった方がまし」を取り上げたいと思います。

 

「何もやらないよりはだらだらやった方がまし」という言葉には、いかにも消極的な響きがあります。大抵のことは集中して作業した方がだらだらやるよりも断然はかどります。仕事であれば「だらだらやる」という発想自体がとがめられそうです。

それでは、自主的に専門書を読んだり英語を勉強したりといった場面ではどうでしょうか。このようなことはやらなければいけないわけでもなく、締め切りもないので、さぼるのは簡単です。こんなときに役立つのが「何もやらないよりはだらだらやった方がまし」の法則です。この法則によれば、何も読まないよりはだらだら 1ページ読んだ方がまし、となります。

1日に1ページというと相当少ない気がしますが、それでも1年に1冊読めます。コードコンプリート第2版(下)によれば、1年に1冊でもソフトウェア業界の平均以上とのことです。「何もやらないよりはだらだらやった方がまし」はちりも積もれば山となるの効果を生みます。

他の書籍や定期刊行物を読む
本書を読んで一人悦に入るもよし。あなたは既に、ソフトウェア業界のほとんどの人よりも多くのことを学んでいる。なぜなら、ほとんどのプログラマは年に1冊の本すら読まないからだ (DeMarco and Lister 1999)。ほんのわずかな読書が、専門技術の向上に大きく貢献する。プログラミングの良書を2か月に1度 (1週間に35ページ) のペースで読めば、業界の動向をしっかりと把握することができ、すぐに周囲との差が出るだろう。

しかしながら、「何もやらないよりはだらだらやった方がまし」の法則は怠けるための言い訳に簡単に使えるのも事実です。ちょっと集中すれば10ページ読めるときでも、この法則を適用すると 1ページしか読めなくなってしまいます。さらに、ものごとには限度というものがあり、「何もやらないよりは1文字読んだ方がまし」とはならないところも注意が必要です。

追記

博士論文を書いた経験のある知人たちの話を総合してみると、多くの人は「何もやらないよりはだらだらやった方がまし」式にのんびりと長期的に作業して、提出直前になってから集中して仕上げる、という方針を採っていたようです。方針とは言っていますが、ただの言い訳のようにも聞こえます。人のことは言えませんが…。