UNIXにみる世代間の断絶

最終更新日: 2001-07-27 (公開日: 2000-11-09)


(まだまだ調査中) UNIXにみる世代間の断絶をまとめようという試 みです。どちらが良い悪いという比較をするつもりはありません。 両者の良い点を学んでいこう (新旧自在の hybrid type を目指そ う) 、というのがこの文書の目的です。

比較項目 旧世代 (oldtype) 新世代 (newtype)
シェル csh, tcsh, bash zsh
エディタ vi, Nemacs, Mule Emacs 20/21, XEmacs
(Emacsを捨てたいと思っている)
デスクトップ twm, fvwm
kterm + emacs だけで世界が完結
GNOME + Sawfish
たくさんのGNOMEアプリケーションを使う
技術 枯れた技術しか使わない
新しい技術には懐疑的
新しい技術に飛びつく
古い技術はあっさり見捨てる
プログラミング言語 C, awk, Lisp, Perl C, Python, Ruby, Java
開発に使うライブラリ libc glib, gtk, gnome
ライブラリの仕様 backward compatibility を大切にする backward compatibility をないがしろにする
コンポーネント技術 UNIXパイプ 共有ライブラリ, プラグイン, CORBA
コードの再利用 他のライブラリへの依存を避けたがる 既存のライブラリを積極的に使う
文字コード CSI (Code Set Independent) にこだわる Unicode でいいじゃん
リソースの使い方 貧乏 富豪
添付ファイル ^L + uuencode MIME Multipart
ファイルの保存形式 行指向のプレインテキスト, RFC 2822, S式 XML, データベース, 永続オブジェクト
ソフトウェアのインストール make && make install
(バイナリパッケージなんて邪道)
RPM または deb パッケージ
(ソースからの make なんてうんざり)
気質 頑固 軟派
言い分 「newtypeはUNIXの伝統がわかっていない。 新しいものを無暗に追いかけたって仕方がない」 「oldtypeはいにしえの慣習にこだわりすぎる。 昔話をするより未来の話をしたい」
危険性 「古い環境への過剰な適応」
新しい環境への移行が困難
(環境に過剰適応した生物は滅びる)
「単なる流行の追っかけ」
表面的な知識しか身につかない
(流行には詳しいが中身を知らない人物)
人生 stable unstable
典型的なデスクトップ [old desktop] [new desktop]

注意: できるだけ多くの人の意見は取り入れていますが、強い偏見 が入っています。oldtype よりさらに古い人種 (原人) と、変なも のばかり使っている人種 (変人) は無視しています。

余談

Systems Software Research is IrrelevantRob Pike 氏は、「この10年間で、ハードウェアは大幅に進歩したが、ソフト ウェアは淀んでいる」と指摘しています。たしかに UNIX ではそう かもしれませんが、Windows の方は着実に進んでいるように見えま す。

その昔は、一般の人がハードディスクすらない計算機で遊んでいた 頃に、研究者は UNIXワークステーション + ネットワークという圧 倒的に恵まれた環境で暮らしていたようです。

しかし、今やハードウェアの差はなくなり (どちらも PCです)、使っ ているソフトウェアにいたっては一般の人の方が研究者より進んで いるようです。前者が PowerPoint でさくさくとプレゼン資料を作っ ている一方で、後者の多くは相変わらず emacs + TeX + tgif とい う昔ながらの環境で作業しているのですから 。(減りつつはあるよ うですが)


Satoru Takabayashi