2006年10月29日

Binary Hacks のここがすごい

Binary Hacks の宣伝週間ということで、著者の一人である私から見て Binary Hacks のここが気に入っている、という点について書いてみたいと思います。

 

新しい発見がいっぱい

Binary Hacks はメインの著者5人、コントリビュータ 6人という大人数で書かれています。各人が「これは役立つ」「これはおもしろい」というアイディアを持ち寄った結果、扱われているトピックは非常に多岐にわたります。著者間で内容のチェックをしたときも、「こんなことができたのか」「こういうこともできるよ」と新しい発見に大いに盛り上がりました。

はじめに」にも書きましたが、これまで「知る人ぞ知る」的な傾向のあったノウハウを集めて誰にでも使えるようにすることが本書の試みです。ほかの本にはあまり載っていない情報がたくさん載っていると思います。ぜひ目次をご覧ください。

使い方だけでなく仕組みも説明

Binary Hacks では単にツールの使い方を紹介するだけでなく、仕組みについてもできるだけ説明するようにしています。ツールがどのように動いているかを知ることは、ツールを使いこなす上で非常に大きな力となります。

将来にわたって、ツールの使い方は変わっても、仕組みはそう簡単には変わらないため、仕組みを知っていることは長持ちするノウハウになります。仕組みに関するノウハウは自分で似たようなツールを作るときの役にも立つはずです。

Binary Hack用語の基礎知識が充実

コンピュータの世界のご多分に漏れず、Binary Hacks にも大量の専門用語と略語が登場します。そこで、1章の 2つ目のハックでは「Binary Hack用語の基礎知識」として、主要な用語を幅広くカバーしました。

日本語の用語に関しては「再配置 (relocation)」のように英語の名称も載せています。これは英語の文献を読む際に役立つようにという工夫です。用語集だけでなく、索引の充実にも力が入っています。

川合史朗さんによる「本書に寄せて」

冒頭の「本書に寄せて」を川合史朗さんに執筆していただきました。低レベルから高レベル技術まで精通したハッカーであるだけでなく、優れたライター・翻訳家でもある川合さんに推薦の言葉をいただいたことは非常に光栄です。文章の切れ味もすばらしく、途中で「表向きモード」から「本当の話モード」に切り替わるところなど、いやはやとうなりました。

強力な共著者・コントリビュータ

最後になりましたが、強力な共著者・コントリビュータに恵まれたことは非常に光栄であり、貴重な経験となりました。著者の中で一番バイナリアン度の低い私が企画と雑多な取りまとめをする形になりましたが、これはひとえに「にわかな奴ほど語りたがる」の現象として説明できます。

強力な共著者・コントリビュータが力をあわせた結果、まさに今まで自分が「こういう本が欲しかった」という一冊が完成しました。いたらない点もあると思いますが、ぜひ多くの方に読んでもらえればと思います。

Binary Hacks ―ハッカー秘伝のテクニック100選
高林 哲 鵜飼 文敏 佐藤 祐介 浜地 慎一郎 首藤 一幸
オライリー・ジャパン